ストーリーがアカン

『天地創造』ストーリーのここがアカンて!

 某月某日。
 昔のSFCソフトの安売りを見つける。タイトルは『天地創造』。ちょうど何かゲームをしたい気分だったので、何となく買ってみる。いくらクソゲーでも500円ならまぁ良しだ。
 早速プレイ。最初は地裏(ファンタジーの地下世界みたいなもの)にいる主人公アークが、地表に大陸を蘇らせていく。蘇らせる方法がダンジョン攻略というのがなんだが、アクションRPGでは他に方法がない。ユーラシアを始めとして、次々と蘇らせていく。
 このままではダンジョン5つクリアしただけで終わってしまうので、次の作業は生命体を蘇らせること。そのためにアークは地表に行くのだが、その前に五大陸復活まで入れなかったダンジョンに入ってみる。そこでも地表に大地を蘇らせることになるのだが、
「その日地表にポリネシア諸島が姿を現した……」
 これはまあいい。とは言っても、実在する場所が無くてもゲームの大勢に影響がないのは、かなりひどい気がするが。問題は次。
「その日地表にムー大陸が姿を現した……」
 ねぇよ、そんなの。
間違いなく現代には存在しないもの(過去にあったともとても思えないが……)を、平気で出現させてんじゃねーよ。


 さて、そうして舞台は地表へ。まずは植物を蘇らせる。アークは植物と話が出来るので、彼らから情報を聞いて続いて鳥を復活させる。そして渡り鳥に大陸間を渡してもらって(これも凄い話だと思うが)、動物の復活を試みる。その場で彼は語る。
「それにしても緑ってなんて綺麗なんだろう。(中略)お腹がすけばエサにもなるし……。そうか、エサになる植物を蘇らせれば動物も復活するかもしれない!」
 え?この地に植物がないのは、干ばつなどの理由があるからまだ解る。けど、エサ?君、ついさっきも彼らと話をしてたんじゃ……。会話できる、意思を確認しあえる相手を食べさせるのか。何かすげー状況だ。
 このエサについては、さらに凄まじい話がある。
 アークはある雪山で、氷の洞穴に閉じこめられる。そこには同時に閉じこめられたカモシカの夫婦が、正確には妻と死体となった夫がいた。彼らは脱出を試みるが、そう簡単にはいかない。しばらくあがいた後で、カモシカが言う。
「そろそろ晩御飯にしましょう」
 ま、まさかこの展開は……と思っていると、案の定カモシカは夫の死体へと足を向ける。ぐえ。子供が見たらかなり不快感を覚える場面だ。確かに妥当な判断ではあるが、だからといって不快感が薄れるはずもない。このゲーム、つくづく子供向けのストーリーじゃない。
 そしてやはり、万人が考えるツッコミはしておかなくてはならないだろう。
「おめーは肉食なのかよ、カモシカ!」
 さて動物を復活させた後は、いよいよ人類の復活を目指すことになる。ここから先が、また暴走している。


 そして人類復活。復活した瞬間すぐに、人類はそこら中に繁殖(他に適当な言い方を思いつかない)している。文明レベルは1か2(青銅器、鉄器時代)。ストーリーが進むと3(中世)の街も出てくる。
 ところで、ふと気になったので日本へ行ってみる。ここは地表に出て間もなくの時にも来られたのだが、人間がいないときは当然何もなかった。今なら何かあるだろう。
 ……おう、あるある。 青銅器の時代にばっちり現代日本がありやがる。 他が文明レベル1とか2の時代なのに、日本は一気に7(現代)だ!すげーぜ、さすが日本。その無茶苦茶っぷりに乾杯だ。
 この例は極端な方だが、文明レベルがごちゃごちゃなのはこのゲームの特徴だ。ついでに言えば、いくら文明が発達してもモンスターが消えることはない。東京の地下にもモンスターが存在している(これは実在するかも(笑))。
 全体的にストーリーに無理はあるのだが、それが爆発するのが最終章だ。


 最終章で全ての謎は明らかになるのだが、何がなにやらよく解らないことが多すぎ。まず全てを語っておこう(思いっきりネタバレ)。
 地裏の村クリスタルホルムの長老は、実は地球の暗黒の意志・ダークガイアであった。彼は地球を支配するため、かつて自分を封印した英雄のコピーを作り、まず地上を復活させる。そのコピーこそアークであった。地上が復活し、ダークガイアのしもべたちも蘇った今、要済みになったアークは消される運命になる。しかしアークはもう一人の自分、ライトサイドの使者であるアーク(オリジナル)と出会い、己の使命を知る。真の使命を知ったアークは、長老=ダークガイアに立ち向かい、それを倒すのであった。全ての使命を終えたアークは、永い眠りにつくのであった……。
 と、こういった具合に書けば普通の勧善懲悪ものに聞こえるでしょ。でもこれ、思いっきりはしょっている上、都合悪いのと解りづらいのを削って書いているの。その辺の不満をぶちまけさせてもらおう。
 途中でいきなりアークが赤ん坊になってしまうのだが、どうして?説明もないし、必然性も感じない。意味がわからん。
 ヨミ(アークのパートナー、アニメの魔法少女に付く小動物みたいな存在)も光のヨミと闇のヨミがいるのだが、何か違いがわからん。最後に付いてきたのは光のヨミみたいだったが、何で光のアークにくっついていないの。
 それに光のアーク。お前一体何やってんの。ちゃんと登場して働けよ、コピー品に任せっきりにしないでさ。
 ライトガイアも何してんの。ダークガイアの作戦が着々と進んでいるのに、傍観してんじゃねーよ。
 で、究極なのがエンディング。ダークガイアを倒したアークがたたずんでいると、ライトガイアの声が聞こえてくる。
「(略)あなたの役目は終わりました。ダークガイアが封じられた今、あなたの体も消えゆくことでしょう……」
 お、おいっ! それって要済みだから消えろってことか!? そのセリフ、ダークガイアのものと何が違うんだ?所詮コピー品のアークは消耗品なのか?何をどう頑張っても、アークは利用され、消え去る運命から逃れられないのか?
 ひでぇ。この手の必然バッドエンドを見るたび思うのだが、これを見て誰が喜ぶのだろう。小学生だったら泣くよ、この結末。スタッフロールの後にアークが生きているような描写があるが、これがなかったら私は本当に落ち込んでいたよ。いや、あれも実はオリジナルのアーク(ライトサイド)で、
「あのアークは消えてしまった。今日から僕が主役さ!」
 と言いつつ爽やかな笑みをこぼしているのかも。いいとこ総取り。


 そもそもゲームの最初から疑問だったけど、どうして地上から生命体が、大地が消え去っていたのだろう。エンディングを迎えて思うに、以前アーク(オリジナル)がダークガイアを封印したときに、巻き添え喰ったんじゃないのか?で、地上はぼろぼろになったけど、
ライトガイア「じゃ、今度は大地や生命体の復活ね。よろしく」
アーク「えーっ、めんどくさいっスよ。もうちょっとこのままでいましょう」
 とかいう会話が交わされている間に、アーク(コピー)が何から何までやってくれたのでは。
「おお、これはラッキー。このままあいつを英雄に仕立て上げたら、ダークサイド同士で潰し合ってくれるかも……」
 ライトガイアの考えに賛同しアーク(オリジナル)も復活を控え、かなりヤバイ状況になってもサポートオンリー、自分では何もしない……。
 うーん、自分で書いていてかなり真相に近い気がする。それを裏付けるような状況はあっても、否定する状況がないのがヤバイ。こういった設定にありがちな、オリジナルVSコピーのバトルもないし。ダークサイドはどうあってもダークサイドでしかない、と制作側は言いたかったのだろうか。


「正義とは最も残虐な行為を容認する言葉である。行為が正義を作るのではなく、正義が行為を作るのだ」byオレ


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