One Line 小説


機動戦士ガンダム ライアット・ギア
MobileSuit Gundam Riot Gear


宇宙世紀0080──戦争は終わった。  だが、戦いは終ってはいなかった───。

 U.C.0080.01.01、地球連邦政府とジオン共和国の間に終戦協定が締結された。だが、ジオン軍残党は依然として抵抗をやめず、各地で激しい戦闘が続いていた。特にアフリカでは旧世紀来の民族紛争と相まって潜伏化し、後のネオ・ジオン戦争まで禍根を残すこととなる。

 宇宙においてもジオン軍残党は跋扈(ばっこ)していたが、デラーズら野望を抱くものは戦力の充実を図るため潜伏しており、宇宙(そら)を汚すものたちは大儀を持たぬ─旧世紀において暴走族やチーマー、フーリガンなどと呼ばれていた─ならず者たちであった。これらの者達は、なんら理念も理想も持たない。ただ暴れ、奪い、破壊を繰り返すだけで、連邦軍が出動するやいなや脱兎のごとく逃走していた。輸送船や民間船までをも襲う無差別な無軌道ぶりに連邦軍もこれを看過できず、特別対策チームの設立を行った。それが「ライアット・ギア」である。ライアット・ギアとは暴動鎮圧用の装備のことで、ならず者たちはジオン軍残党というより、たんなる暴徒としてその存在を数段、低く見られていたという証左ともいえよう。

 ライアット・ギアに求められた機体は「迅速に現場に到達することが出来る高機動型MS」であった。そのため、ジム・スナイパーIIやジム・スナイパーカスタムの配備も検討されたが、これら高性能機は元々、生産数が少なく、また終戦後はジオン残党との激戦区へ送られており、ライアット・ギアへまわす余裕はなかった。高機動であるジム・ライトアーマーは一撃離脱の電撃作戦用の機体であり、状況によっては徹底抗戦せざるを得ないライアット・ギアには防御面で不安があったため、これも見送られた。これによりライアット・ギアは、一般量産型ジムを改修した「ジム ライアット・ギア」の開発を行うこととなる。

 ジム ライアット・ギアの開発は一般量産型ジムの徹底した軽量化から行われた。方向性はライトアーマーと同じだが、防御力を落とすことなく軽量化するという相反する要素を実現することは容易ではない。だが幸いなことに一年戦争末期からの連邦軍MS開発技術の飛躍的躍進により、同等の強度を持ちながらも30%近い軽量化も可能となっていた(これはフルアーマーオペレーションにおける研究開発の成果らしい)。もっとも本機は内部メカニックの4割ほどを最新装備に換装することで軽量化を図ったのみで、外装は従来機と大差はない。機体各部に確認できる切り欠きは、更なる軽量化のための苦肉の策であった。
 本機の軽量化に際し、もっとも縮小されたのがプロペラントの積載量である。これにより稼働時間は半減した(増強・増設されたスラスターのためでもあるが)。しかし、本機の運用が主にコロニー周辺であること、現場近郊への移動はサブ・フライト・システムに委ねること、などを鑑み、問題なしとされた。
 メインスラスターの推力アップ、および機体各部のスラスター増設により、本機の機動力は一般量産型ジムの3倍と言われている。が、実際の数値上は2倍程度で、3倍というのは実働運用における体感差であろう。
 本機の主武装には出力の強化されたビームガンが装備された。この武器をドライブするためにジェネレーターはチューンナップされ出力が多少、向上している。しかし充分なエネルギーゲインが得られるわけではなくビームガンの射撃回数には制限があり(通常8発)、予備の武装としてビームスプレーガンを携行する。高速戦闘下での命中精度の向上のため、センサーは強化されスナイパークラスに迫るセンシング機能を有している。



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