社団法人網走青年会議所





理事長所信   第60代理事長 杉本 匡規




【はじめに】

網走に生まれ育ち37年、網走の歴史の一部しか生きていない私ですが、その僅かな間でさえ都市基盤の整備は進み、その一方で、遥か太古より流れを変えることなくマチの発展を見守ってきた網走川は、変化の中にも変えてはいけないものがあるということを、私たち市民に対して語り続けているような気がするのです。

私はこの網走を誇りに思い、感謝をしています。それは、この網走とそこに関わる多くの人たちに育まれてきたお陰で、今の私がこうして成り立っていられるからです。

この誇りと感謝の念は、私がこの網走で頑張りたいと意識した時に芽生え、高まり、自分の子供のみならず、全ての市民にも同じようにこの網走を思って欲しいという願いとして、私の原動力となっております。

そして、青年会議所での運動は、私の願いを実現するためにどう行動すべきかという気づき、学びを与え続けているのです。

今、ここに社団法人網走青年会議所が、60期目の運動を展開するにあたり、会の存在はもとより、先輩諸兄が推し進めてきた川の流れのように変わらない強い志をもった運動と成果の上に、今が成り立っていることに深く感謝させていただきます。

そして、三助の精神をもって歴史と伝統を重んじつつ、今なすべき事に真剣に向き合い、自らの行動として邁進することをお誓い申し上げ、ここに2011年度社団法人網走青年会議所が歩むべき道を示させていただきます。

 


『JC運動と市民意識変革運動〜確固たる自尊心の確立〜』


【三助の精神を備えたJAYCEEへ】

本年度策定される2010年代運動指針においても、これまでと同様に市民意識変革運動の重要性が示され、JC運動とは市民意識変革運動であると、引き続き謳われることでしょう。

この「市民意識変革運動」が、我々の目的を達成するための運動として、更なる展開を要していくなかで、私は今一度、この運動の根幹をメンバー共に考えてみたい。

創立60年を目前に控えるなかで、変わらぬ志のもと、夢の実現に向って更なる共有のために必要な共感が、一時のノリとなってしまわないためにも、青年会議所という組織で自分がどうあるべきか。更に、JCメンバーであることは市民意識変革運動を行っていて、その過程のなかで、リーダーの素養を育んでくれる組織がJCであることをしっかりと踏まえ、この運動が我々自身の姿勢や行動によって、周囲の共感を生んでいくものであるという意識を、全メンバーで強くもつことが重要ではないでしょうか。

ここで詩人の金子みすずさんの有名な詩を紹介させて頂きます。

「私と小鳥とすずと」

‘わたしが両手をひろげても、 お空はちっともとべないが、とべる小鳥はわたしのように、地面をはやくは走れない。わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、あの鳴るすずは、わたしのようにたくさんな歌はしらないよ。すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい’

「みんなちがって、みんないい」お互いを認め合うことは自分自身をしっかりと持っているから他人を敬える。自分づくりによる確固たる自尊心から生まれる他尊心は、自分がかけがえのない存在で、だからこそ皆も同じように尊い存在であるということを知ります。そこには自然と思いやりや感謝の気持ちが生まれ、「自分の為に」が「誰か」や「地域(まち)」の為になり、自助・互助・扶助という「三助の精神」の高揚へ繋がるのです。

そして、青年会議所を紐解くとそんな自分づくりに果敢に挑んでいる個人の集まりで、そこにお互いを尊重し合えるからこそ、同志となれるのです。であるならば、JC運動を信じる道として歩むときに、常にJCという看板を背負った市民でなければならなく、もっと言うならば、我々の姿勢が例会や事業の時だけのものであるなら、それはJCという芝居や稽古をしているだけで、我々の気高き理想は、青年会議所内だけで達成されるものになってしまいます。特定の誰かではなく、誰もが夢に向かい志をもって歩むリーダーでなければ、JC運動は市民意識変革運動などとは言えるはずもなく、常に自分が生きている姿勢として当たり前を示せなければ誰かに対して変革を訴えても説得力なんて生まれはしないのです。

だからこそ、「JC運動と市民意識変革運動」の根幹を確固たる自尊心の確立と捉え、その確立から育まれる「三助の精神」を備えたJAYCEEからは、市民を巻き込むという言い方ではなく、共に歩もうとする共感の道が生まれるのです。




『千 里 の 道 も 一 歩 か ら』


【発信の道〜新発信(シンパシー)運動〜】

 我々の活動や運動は、どれ程この地域に知られているだろうか。更にはこの網走青年会議所の存在が、どれ程の市民に知られているだろうか。この地域(まち)、この国をより良くしたいと思い考え、どんな運動をどの団体が展開しているのか、この地域に強く発信する必要があると思うのです。

しかし、ただ掲示するだけでは、伝えたという自己満足で終わり、事業を行った時だけの発信に留まってしまいます。それがもし伝わる発信だったら、知らなかった市民や参加できなかった市民の今後への参加意識に繋げることの出来る大変重要なJC運動であることに気づかなければなりません。

伝わる発信をしていくことは、より多くの市民に対して情報を通じての運動の拡がりを見せるものであり、あなたも一緒に歩んで欲しいというメッセージから世代に関係なく共感できるひとが生まれ、まず自分のやれることを思い動いたとき、そこに我々の所属に関係なく同じ一歩が生まれると信じ、発信の道を切り拓こうではありませんか。


【地域政策の道〜笑顔あふれる地域(まち)の創造〜】

 私は、まちづくりを行っていくうえで不可欠なのは、声を上げていくことで、そして青年会議所だから出来るまちづくりはその声を創るところから始まると考えています。そしてその声をどのように上げ、どんな形にするかを一貫して創り上げることも青年会議所がこの地域に対して担っている使命だとも思っています。

そこで、「良い地域」とは一体どんなまちでしょうか。それは明るい豊かな社会と答えるかもしれませんが、では、そんな社会を想像したときに何が見えるでしょうか。私はいの一番に子供の笑顔を思い浮かべます。しかし、大人が笑顔でなければ子供も笑顔を失っていきます。「子は親の鏡」とはよく言ったものです。だからこそ、笑顔あふれる地域の創造を目指し、どうすれば良いのかという声を何から創り上げるかを考え、市民と共に歩みながら政策という声をJCがあげなければなりません。

近年、地域主権という言葉が叫ばれ、予算や権限委譲等の話がありますが、それは行政レベルでの話であって、それがあるなしに関係なく、地域の問題や課題はその地域市民が一番知っているからこそ、現在と次代の地域に責任をもって歩む道を展開すべきであり、そんな市民がいるまちは、ずっといたい、帰ってきたいと誰もが思える、笑顔に満ちあふれた地域だと思うのです。


【理(ことわり)の道〜当たり前のことを当たり前にできる日本人であるために〜】

 私は、JC運動の基軸といわれる人間力には三助の精神が不可欠で、そこから市民と共に地域・国の問題についての運動を展開することが、広い視野から人間として行うべき正しい道を知るものになると考えています。

直接的に実感はなくても、北海道、国、更には世界でも多種多様な課題や問題が山積みされており、中には大事なことでも取り上げられない現状があります。しかもそれらの問題は、近い将来、日本の根幹を揺るがす事態へと発展するかもしれないのです。

問題なのは、知らないからそれらを無関心としてしまうことで、この地域から無関心を無くすためには、三助の精神を育みながら国家というものを考える機会の提供が必要なのです。それは、日本人の優れた気質と言われる思いやりを取り戻し、当たり前のことを当たり前にできる「道理」として市民・国民の行動を変えていくと思うのです。


【これからの道〜故きをたずねて新しきを知る〜】

網走青年会議所は、先輩諸兄による功績があって今日の運動の礎が築かれています。それは、常にその時代背景への柔軟な対応による、地域に必要なJC運動を展開されてこられたからであり、我々は60期という節目を迎えたなかで、その姿勢を今一度学び、これからの運動方向性として考える必要があるのです。

そこで、2010年代運動指針も踏まえ、今後の網走青年会議所が、この地域に対してどのような運動を展開していくべきかを中期的なビジョンとして策定し、メンバー共通の認識として共有していきます。

また、今後の運動展開を踏まえたなかで、昨年会議体により調査・研究がなされた公益法人制度改革については、地域に根ざした運動を展開する組織であり続けるための意思決定を行います。

更に、翌年2012年度に創立60周年を迎えるにあたり、網走JCが半世紀を迎えてからの10年間を踏まえたなかで、過去への感謝と今後の飛躍を誓う場とするために、その規模や方向性の具体的な企画立案と提示を行い、実行へ向けた気概の醸成を図っていきます。

この一連の流れは、その場限りではなく、今後の運動展開においての一つの基準となり、歴史や伝統を重んじるからこそ新しい英知が宿るこれからの道標となるのです。


【おわりに〜一歩から〜】

『至誠にして動かざるもの、未だこれあらざるなり』

まごころ、誠心誠意をもって行動して通じなかったことはないという意味です。

さあ、この網走への誇りと感謝の念を抱き、至誠をもった行動へと繋げ、この地域の未来のために2011年度という道へ共に一歩を踏み出しましょう。

誰もがいきなり大きな一歩など踏み出せません。どんなことでも、そこに少しでも踏み出せば、それは半歩ではなく、まぎれもない皆と同じ一歩であり、そんな我々の行動は、誰もが共感できるものとなるに違いありません。
 一つのことを共に成し遂げる。それはひとつひとつの積み重ね。
 一つのことを共に成し遂げる。それは人と人との繋がりあい。

 積み重ねが道となり、繋がりが友となる。
道は未知だから、友と共にまごころもって一歩から。



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